進み逝く某に千羽鶴を送りたまう我が娘は事を察したの

進み逝く某に千羽鶴を送りたまう我が娘は事を察したのか、その眼(まなこ)には涙を浮かべながらしかと我を映す
されば思い返すは古き記憶、現(うつつ)と片隅から色褪せるは父の背中 大和の誇り 維新移る今世にはもはや衆生の記憶から失われたのであろう古き日の国の遺志
幼き頃は父が何故妻子を残してまでも誇りを選び命を散らせたのか判らぬままだった。故に憎しみの矛先は知らぬ敵へと向けられた。しかし今ならば分かる、父が望んだ善き武士道を今が敵である友に捧げたのだと。
なればこそ、今某がやらねばならぬことは見えておる。
我が娘よ我を恨め、そして強く生きよ、今日の国は乱世へと道をはずした。
父は変わり行く友に最後の手向けを送る

我、スサノヲとなり手向けを刻む武士なり
全てはこの国がいつか明け逝く日まで

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