影との戦い―ゲド戦記 1  アーシュラ・K. ル・グウィ

影との戦い―ゲド戦記 1  アーシュラ・K. ル・グウィン (著) 清水 真砂子 (翻訳)

『影との戦い』(かげとのたたかい、原題:A Wizard of Earthsea)は、アメリカの作家アーシュラ・K・ル=グウィン(1929年 - 2018年)が1968年に発表したファンタジー小説。『ゲド戦記』シリーズの第1作であり、ファンタジー文学及び児童文学の古典として広く影響を及ぼしている。 なお、シリーズ名『ゲド戦記』の表記は日本語版独自の呼び名であり、英語版では "Books of Earthsea"、"Earthsea Cycles" などと呼ばれる。

物語の舞台は「アースシー」と呼ばれる架空の多島海世界であり、ゴント島の村に生まれた若い魔法使いのゲドを主人公とする。ゲドは子供のころから強大な力の兆候を示し、魔法学校に進むが、その傲慢な性格から院生と対立する。魔法による決闘中、ゲドは呪文を失敗して死の影を呼び出してしまい、その影に追われる身となる。この物語では、「影」からの解放をめざすゲドの旅が描かれる。

『影との戦い』は、ゲドが力と死に対処することを学ぶ過程を探求しており、しばしば教養小説あるいは成長物語として説明される。 また、魔法使いたちによって維持されているアースシー宇宙の均衡の概念については、道教的なテーマを含んでおり、言葉と名前が物質世界に影響を及ぼし、バランスを変える力を持つという考えと密接につながっている。 物語の構成は伝統的な叙事詩に近いが、主人公を典型的な白人のヒーローではなく浅黒い肌の有色人種として設定しているなど、このジャンルの定形を破るいくつかの手法が取られている。

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